なぜ庶民は住宅ローンに苦しめられるのか? ― マイホーム神話の崩壊

人生

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。

「家を買う=幸せ」という幻想

日本では長らく「家を持って一人前」「家賃を払うのはもったいない」と言われてきました。
親や職場の同僚からも、「今のうちに家を買っておけ」「住宅ローン減税があるから得だ」と、当然のように勧められる場面も多いでしょう。

しかし、実際には住宅ローンが家計を圧迫し、人生の自由を奪っている家庭も少なくありません。

金融庁や総務省の調査によると、日本の世帯の平均的な住宅ローン残高は約2,500万円
返済期間は35年が主流で、返済総額は利息を含めると4,000万円を超えるケースも珍しくありません。

ここで改めて考えるべきなのは、
「住宅ローンを組むこと=資産を持つこと」ではなく、
「住宅ローン=35年の負債契約」であるという現実です。建物の価値は減り続けていきます。(地方では住み始めた段階で3分の2ほどに価値が下がる事は珍しくありません)


■1. 住宅ローンは“人生の自由を奪う”最大の借金

たとえば、3,500万円の家を35年ローン(固定金利1.5%)で組むとします。
毎月の返済は約10万円。ボーナス払いを加えると、総支払額は約4,440万円になります。

つまり、家のために1,000万円近くの利息を銀行に払う計算です。

この35年の間、もし転職や起業、離婚、ケガや病気などの「人生の転機」が起きたらどうなるでしょうか?
ローンは待ってくれません。たとえ収入が下がっても、支払いは続きます。

日本の住宅ローンは「個人保証」が基本のため、
返せなくなっても自己破産しない限り、借金は残り続けるという仕組みです。

しかも、近年の社会情勢では次のようなリスクが増えています:

  • 人口減少による地方の住宅価格下落
  • 給与の伸び悩み(実質賃金は30年前からほぼ横ばい)
  • 固定資産税・修繕費・保険料の増加(インフレリスク)
  • 災害リスク(地震・水害)による損失

つまり、家を買った瞬間から「リスクの塊」を背負うことになるのです。


■2. 「持ち家は資産」という思い込みの危険性

「どうせ家賃を払うなら、自分の家に払ったほうがいい」
この営業トークは、よく聞きますよね。しかし、実際の数字を比べると真逆の現実が見えてきます。

▼例:家賃10万円 vs. 住宅ローン10万円

項目賃貸持ち家
月10万円家賃ローン返済
固定資産税0円年10〜15万円
修繕費積立0円年20〜30万円
火災保険0円年1〜2万円
引越し自由度✕(売却に半年〜1年)
資産価値変動なし下落リスク大

たとえ同じ「10万円の支払い」でも、持ち家は維持費が年間数十万円単位で発生します。
特に築20年を超えると、外壁塗装や屋根修理、エアコンや給湯器交換などで1回あたり数十万円〜百万円単位の出費が発生します。

つまり、「家賃がもったいない」という発想は、あくまで数字のトリックなのです。


■3. 日本の住宅は「価値が下がる」のが前提

欧米では中古住宅市場が活発で、リフォームをして資産として継承する文化があります。
しかし日本はまったく逆。
国土交通省のデータによると、日本の住宅の平均寿命は約30年
新築で建てた家でも、30年後には「資産」ではなく「負債」に変わることが多いのです。

特に地方では、

  • 人口減少
  • 駅から遠い立地
  • 近隣の空き家増加
    などの要因で、築20年で価格が半分以下になることも珍しくありません。

さらに恐ろしいのは、売ろうにも買い手がつかないケースが増えていること。
国交省の調査では、全国で空き家は約950万戸(全住宅の約13%)に達しており、今後さらに増える見込みです。(年間100万人以上が亡くなる時代です)


■4. 「住宅ローン減税」は本当に得なのか?

「ローン減税があるからお得」とよく言われますが、これは非常に誤解されやすい制度です。

確かに、住宅ローン残高の0.7%が所得税・住民税から控除されますが、
控除期間は最長13年。
そして、そもそも「支払った利息+税金」よりも減税額の方が少ないケースがほとんどです。

例:ローン残高3,000万円 × 0.7% = 年21万円控除
→ 実際の支払い利息は年40万円前後。

つまり、銀行に40万円払い、国から21万円戻るだけの話。
トータルでは赤字です。

この制度は「家を買う人を支援する」ものではなく、
住宅産業を支えるための経済政策である点を理解しておくべきです。


■5. では、どうすればいいのか? ― 新しい住宅の考え方

「じゃあ、家は買わない方がいいのか?」
そうではありません。大事なのは、「買う目的とリスクを理解すること」です。

たとえば:

  • 転勤・転職の可能性がある人 → 賃貸の方が柔軟
  • 子どもが独立した後の生活を考える → 小さな家で十分
  • 資産を持ちたい → 住宅ではなく、投資信託や株式で形成した方が流動性が高い

さらに、住宅を持ちたいなら以下のような考え方が現実的です:

築20年以上の中古住宅 × リフォーム
→ 資産価値の下落が止まりやすく、購入価格も安い。

ローンは「返せる額」ではなく「生活を守れる額」で組む
→ 借入上限いっぱいまでローンを組むのは危険。

頭金+現金余力をしっかり残す
→ 金利上昇やリストラ時の「逃げ道」を確保。


■6. 住宅ローンで“人生を詰まされる”前に知るべき現実

最後に、厚生労働省の統計を紹介します。
40代〜50代で住宅ローン返済に困っている世帯は全体の約3割
中には、教育費とダブルパンチで家計が破綻寸前の家庭も少なくありません。

また、国土交通省のデータによると、住宅ローン破綻による競売件数は年間約4万件
これは1日あたり100件以上の家が失われている計算です。

つまり、「みんながやってる」から安心ではなく、
「みんな苦しんでいる」からこそ注意が必要なのです。


■まとめ:家を「資産」ではなく「消費」として見る

家は人生における最大の買い物ですが、最大のリスク商品でもあります。

マイホームを「資産」ではなく「消費」として考える。
そして、「家を買う=幸せ」というイメージを今すぐ捨てよう。
それこそが、これからのインフレ時代を生き抜くための現実的な生き方です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました